銀行カードローンをめぐる問題とは
最近、銀行カードローンについてのニュースを聞くことが増えてきました。
どちらかというと、危険性を指摘する報道が多いのですが、『カード』と聞くと、ついついクレジットカードと何か関係があるのかと思ってしまいますね。
銀行カードローンとクレジットカードには、基本的に何の関係もありません。
上の画像は、銀行カードローンの一つ、三菱東京UFJ銀行が提供している『バンクイック』のカードですが、銀行カードローンとは、銀行または協同組織金融機関が発行するカードを利用するローン(資金の貸し付け)のことです。
銀行カードローンの契約を結ぶと、このようなカードが発行され、ATMを通じて借り入れを行うことが出来ます。手軽に借りることが出来て、消費者金融に比べると金利も安いことから、銀行カードローンの利用者は大きく拡大しています。
銀行カードローンの利用者が増えるなかで、返済が滞る人も増えてきています。このため、銀行カードローンが社会問題化しているのです。
銀行カードローンは総量規制の対象外
意外に思われるかもしれませんが、銀行カードローンは総量規制の対象外です。
クレジットカードと総量規制の関係でも解説しましたが、総量規制は「貸金業者」を規制するもので、そもそも銀行は対象外なのです。
貸す側、借りる側、双方にとって自由度が高いとも言える反面、リスクももちろんあります。
こうしたリスクを回避するために、銀行側は、必ず保証会社として消費者金融を通しています。現在では、多くの銀行が、企業グループ内に消費者金融企業を持っていますので、与信審査にはそのノウハウを活用しているわけです。
銀行としては、延滞が発生した場合にも、保証会社(つまり消費者金融)が債権回収業務を行ってくれますし、万一、貸倒という事態に陥ったとしても、保証会社(つまり消費者金融)が損失を負ってくれます。銀行にとってはリスクゼロなわけです。
銀行カードローンが社会問題化する背景
日本は、バブル崩壊以降、超低金利が続いていて、近年ではマイナス金利という状況にまで至っています。
銀行は、本業の事業融資で収益を上げることが難しくなってきていて、このため比較的に高収益の商品として、銀行カードローンを積極的に拡大してきました。
儲かる上に、リスクも無いわけですから、銀行にとっては非常に旨味のある領域なのですね。
ただし、背景にある状況を考えると、倫理的にはかなり微妙なラインです。
銀行カードローンは、審査等の諸業務を、保証会社(傘下の消費者金融)に丸投げしているわけですから、実態は消費者金融そのものです。であるにもかかわらず、銀行カードローンというオモテの仮面を通すことで、金融グループとしては、総量規制等の貸金業法の規制を受けずに消費者金融を行うことが出来ます。
ひと言で言うと、構造的に過剰融資に陥りやすい状況になっているのです。
借りる側は、法規制に守られることは無く、場合によっては総量規制の枠を超えて借りてしまうために、銀行カードローンによる自己破産は急激に増加しています。
銀行カードローンは、大きな社会問題になっているのです。
計画的な利用を心がけましょう
クレジットカードについては、基本的に信用に基づいた料金後払いの仕組みです。キャッシングも総量規制等の貸金業法の規制を受けていますので、少なくとも構造的な問題が生じることはあり得ません。
クレジットカードの仕組み自体は、安心・安全にも十分配慮して組み立てられているものですが、最終的には計画的に利用して行くことが何よりも重要です。
毎月の利用代金をしっかり支払い(口座引き落とし)できるように、自分の支払い能力の範囲内で利用して行くようにしましょう。